消える前に……
数分して、
嬉しそうな顔で
秀兄は帰ってきた。
「お待たせ、修。」
俺は写真を受け取り、
一枚づつ見て行く。
俺と綾の映った写真。
「修ってこういう顔するんだな。」
秀兄が写真を覗き込みながら
言ってきた。
「まあね。」
俺は最後の二枚を
手紙と一緒に封筒に入れて、
上着のポケットにしまった。
「最後の写真見せてよ?」
秀兄が俺に言ってくる。
「あれはだめ。」
「何で?」
「秘密だよ。」