消える前に……
「もう俺の言うことなら、
何でも聞いてくれる
修じゃないってわけか…。」
そう言って、
秀兄は少し悲しそうに、
だけど嬉しそうに
笑っていた。
「もう修はガキじゃないしな!」
そう言ってから前を向き、
車を動かし始めた。
「あのさ。
寄ってほしい所が
あるんだけど…。」
「ん?どこ寄っていくの?」
「綾の家…
寄ってほしいんだ。」
「良いけど。
こんな時間じゃいないだろ?
夕方とかじゃなくて良いのか?」
「今…寄ってほしい…。」
「わかった、案内しろよ?」
秀兄は本当に
優しくしてくれた。
その優しさは
本当に嬉しかったけど、
同時に、
悲しくもあった。