消える前に……
「楽しくやれてるなら、
捨てちゃってくれて良いんで。」
「わかった。約束する。」
「ありがとうございます。」
お礼を言ってから
立ち上がり、
もう一度お礼を言って
綾の家を出て行った。
「もう見ることもないけど。
本当に楽しかった…。」
綾の家から出た後、
俺は振り返って
そう小さくつぶやいた。
「秀兄、ありがとう。
じゃぁ帰ろうか。」
綾の母親の話を聞いて、
俺の中で
何かが少しだけ変わった。
綾の母親と最後に話せて
『本当に良かった』
そう心から思った。