消える前に……



教室に入ると、

今日はもう綾は来ていた。


「おはよ。」


「修くん、おはよ!」


綾は今日もテンションが高かった。


「そう言えば金曜日に修くん見たよ。」


「そうなの?
気付かなかった」


本当は気づいてたけど、

俺は気づいていなかったふりをした。


「あ!修くんに見せたいものがあったんだ。」


そう言うと、

綾はかばんの中をごそごそと探っていた。


「あった!
じゃーん!!」


そう言って嬉しそうに、

CDを見せてきた。


「知ってるかな?
このアーティスト。
たまにテレビとかにも出てるんだけど。」


俺はCDを見て驚いた。

それは俺が

金曜日に俺が買ったのと同じCDだった。


「知ってる!
そのアーティスト大好きだし!!」


「そうなんだ!!
私も大好きなんだ~
このCD、金曜日に発売されたばっかりなんだよ。」


「俺も金曜日に買ったし!!」


「そうなんだ!」


綾は嬉しそうな笑みを浮かべた。




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