消える前に……
「ばいばい。綾!
今日家帰ったらさっそく読むから!!」
「ありがとう!
じゃぁね!!修くん」
俺は、
朋樹の席の方に行った。
「朋樹!
早く帰るぞ!!」
「なんだよ?
そんなに急いで…」
「早く本読みたいから!
おいてくぞ!?」
そう言って、
俺は先に教室から出て行った。
「あ!待てよ~!」
朋樹が走って追いかけてきた。
俺もダッシュで、
学校を出て駅へ向かった。
綾が渡してくれた本。
俺は、
その本を読むことに本当にわくわくしていた。
普段からあまり本を
読む方ではなかったから、
本にこんなにも
わくわくするのは本当に久しぶりだった。
俺は今を生きている。
今を楽しんでいる。
楽しい時は、
必ずそう思うようになっていた。