消える前に……
湯船につかりながら
ぼんやりと天井を見つめ、
本の内容を思いだしていた。
思い出すだけで、
目頭が熱くなってくる。
俺は、
両手でお湯を掬い
顔にかけた。
「俺もあんな風に生きられるのかな?」
そんなことを考えていた。
俺は、
今……本当に自分らしく生きているだろうか?
俺は、
今……懸命になっているだろうか?
そんな疑問が
頭の中を埋め尽くしていった。
俺は、
今……本当に自分らしく生きているだろうか……?