消える前に……


「でも……?」


綾が聞き返してきた。


俺は、

覚悟を決めた。


現実から逃げちゃだめだ。


現実は現実、

受け止めていかなきゃ。


逃げてたって意味ないし、

逃げているうちは

一歩も前に進めない。


「綾は付き合ってる人がいるんでしょ?
俺なんかとメールとか
電話とかしても大丈夫なの?」


俺は、

耳をふさぎたくなった。


ついに聞いてしまった。


逃げたい。



でも、

俺はそこから動こうともせず、

綾の目を見つめた。



「私が……?」


「うん……。」



1秒が何時間にも感じるほど

それくらい長く感じた。




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