消える前に……
それに今、
俺と綾は二人きり。
朝の時みたいに、
だれかが途中で来ることもないだろうし、
二人で話したいだけ話せる。
俺は、
高鳴る心臓を抑えて、
口を開いた。
「えっと……。」
「あ!じゃあ話すね?」
綾が話を始めようとした。
「ちょっと待って!」
俺は、
綾の話を途中で止めた。
綾が何を言おうとしているのか
わからなかったけれど、
綾が話す前に
俺の言いたいことを
言いたいように
言っておきたかったから。
綾の言葉を聞いて、
俺の気持に変化があったら
俺の本当の気持ちを伝えることができない。
だから、
俺は綾の言葉を無理やり途中で止めた。
「ん?どうしたの?」
綾の顔が少し暗くなった。