人々は不思議に思った。何故あんな人をゴミの様にしか扱わない人を愛することができるのかと。



しかし、彼はそれ以上は何も言わなかった。



そんなある日、フレアの元に一通の知らせが入った。


夫のカイトがビルの建設工事の手伝いをしている最中に、足を滑らせて落ちそうになっているという。




今はかろうじて手だけで吊り下がっている状態だそうだ。しかし、なんせ彼はあの風貌の為、そう長くはもたないであろう。




建設工事の手伝いはフレアがやらせたことだった。



人件費削減の為、そして夫を愛するあまり…。



フレアは、ギリギリで救うということを何度も繰り返して、夫を極限状態に追い込むことで自分の夫に対する愛を確認していた。



しかし、この事件はフレアにとって予想外であった。



フレアはすぐさま夫の所へ向かった。




フレアが夫の元へ着いた頃、夫はまだ生きていた。が、救急隊員ですら何も出来ない状態であった。



そのビルの形はフレアのこだわりによって造られたので異常なものだった。その為、夫の元へ辿り着くには非常に困難であり、リスクも大きかった。



場合によっては助けるこちら側も命を落としかねない状態である。


フレアは迷った。今まで夫に酷い扱いをしてきたとはいえ、フレアもまた、夫の事を愛していたからだ。


それから5秒程が経った…。


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