光

しかし、勿論彼女にこのような経験はない為、全て手探りなものだ。


彼女は少しずつ足を進めていく、一歩、また一歩と。



彼女には恐怖心こそあったが、同時に人の為に動くという嬉しさに気付いた。



彼女は夫の元に着き、夫にその道具を取り付けることができた。そして、彼女は安堵の表情を浮かべ夫に泣きながらこう言った。


「カイト、無事でよかった…愛してる。」と。



それは初めてフレアが素直に気持ちを伝えた時だった…。



しかし！その瞬間、彼女はバランスを崩し…



落ちた…。




「フレア！！！！」カイトは叫んだ。



しかし、そんな声は虚しくも風に流され、数日後、彼の元に死亡通知書が届いた。



フレアはこの世にはもういない。


彼女は財産も、権力も、感情も、記憶も、全てを失った。



そんな時、宇宙に一つの光が生まれた。



そして、神は光へこう言った。




「全てを持つ者は何も持っておらず、全てを持たない者は全てを持つ。」と。



その日の晩、カイトは空に一番輝く星を見つめてこう言った。





「愛してる…。」





貴方は何を持っていますか…？



END