君に、会いたい。〜君と過ごしたサイゴノヒ〜
〇戻って来てよ。
≫プロローグ
零Sibe
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「じゃあね、零。
帰っても、連絡ちょーだいね。
来年も、待ってるからね〜〜〜〜〜〜!!」
そう言って、玄関で大きく手をふるユズ。
『ユズ』とは、俺、埼島 零(さきしま れん)15才の幼馴染み、八神 柚子希(やがみ ゆずき)15才の事だ。
腰あたりまである、さらさらの長い髪の毛が印象的だ。
俺は、ユズの家に夏休み限定で、泊まりに来た。
そして、今日帰る。
俺とユズは住んで居る県がお隣同士。
つまり、俺とユズが住んで居る県は、違うって事。
ユズとは従兄妹(いとこ)で、小さい頃から夏休みなると必ず、ユズの家に泊まりに来る。
小さい頃は、「お兄いちゃん!」なーんて、カワイかったな………………。
なんか、守ってやりたくなるんだよな。
俺だけを見て欲しいんだよ。
……ああ、そーですよ、俺はユズが大好きですよ〜〜〜〜〜〜〜〜!!
だってさ、くりくりした目で、上目遣いして来るんだぜ!?
もう良い年なのに、「一緒に寝よ!」って、言って来るし〜〜〜〜〜〜〜。
恋愛的な見方になっちまうに決まってるだろ!!
カワイすぎだろ、オイっ!!
俺はそんな考えを頭の片隅に置き、コホン………と、軽く咳払いをし、
「じゃあな、ユズ!」
――こう言った。
また来年、会えるように……………………。
この思いが、甘い事を俺は知らない………………………。