アメット

「本当か!?」

「嘘は言わない」

「それは、凄く嬉しい。やっぱり何と言うか……別に怖いってわけじゃないが、気持ち的に……」

「……わかる」

 アイザックの気持ちがわかるからこそ、同行を承諾した。

 それに、このようなことしか今はできず、アイザックが聞き出すことより友情を選んでくれたことが嬉しかった。

 だからシオンも彼の願いを聞き入れ承諾するが、まさかこれほど喜んでくれるとは以外であった。

「で、いつ?」

「有休を取る」

「難しいぞ」

「というお前も有休だ」

「くっ! そうだ」

 大事なことに気付き、シオンの表情が歪む。

 アイザックに同行するには、仕事を休まないといけない。

 それには有休を再び獲得しないといけず、次はどのような理由をつければいいか悩む。

 流石に同じ方法は使用できず、だからといって適当な理由では嘘がバレてしまう。

「仮病というわけにもいかないし……こうなったら、自主的に外界へ行くしかないのか……」

 誰もが嫌がっている外界の調査に赴けば、可能性がないわけでもない。

 現に外界へ赴いたことにより、それなりの待遇を受けた。

 それなら再び外界へ赴くという手も使えなくもないが、やはり外界へ行くことに躊躇いを持ってしまう。

 シオンは自分が置かれている状況に嘆くと、項垂れてしまう。

「どうした?」

「……行く」

「何処へ?」

「外界」

「平気なのか?」

「これも、お前との友情を――」

「いや、そこまで……」

「だ、大丈夫だ」

 外界へ赴いてまで有休を習得しようとしているシオンに、アイザックは動揺を覚える。

 その気持ちは大変有難いが、病院への同行の為に態々シオンを外界へ行かせるわけにもいかない。

 アイザックは無理しなくていいと言い聞かせると、同行の件は白紙でいいと言い出す。


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