アメット
「だから、階級が低い人間は嫌いだ」
「お前も同じじゃないか」
「まあ、登録上は一緒だよ。だけど、上の者への貢献度は違う。だから、君達と一緒にしないで欲しい」
シオンに冷静になれと促していたアイザックであったが、流石に今の言葉は気分を害したのか、微かに眉が動く。
一方彼等の心情を知らないのか、ベラベラと言葉を続け罵倒する。
舌に油を塗っているのか、相手の発言が止まる気配がない。
また発せられる声音は時間の経過と共に音程が上がり、その甲高い音はシオンとアイザックにとっては耳障りそのものだった。
それに一方的に我慢にも限界があるので、二人は目障りな人物を追い払う。
追い払う方法は複数持ち合わせているが、一番手っ取り早い方法を彼等は取る。
それは「仕事はいいのか」という、最初に相手がシオンとアイザックに言ってきた言葉をそのまま返すやり方だ。
「仕事?」
「そう、仕事」
「俺達に注意しおきながら、自分はいいのか? 仕事をサボっていたら、捗るものも捗らない」
「それこそ、上の者への貢献度ってやつじゃないのか? 随分、貢献度を気にしているようだけど」
「貢献は、大事だからな」
「それなら、早く仕事をしないと」
「上の者に見付かるぞ」
「いいのか? それで」
それが止めの言葉となったのか、相手は購入した飲み物を一気に飲み干す。
しかし熱い飲み物を一気に流し込んだことにより舌と喉を火傷し、その場で悶絶してしまう。
見兼ねたシオンとアイザックが手を差し伸べようとするが、プライドが邪魔をするのか擦れた声音で断ってくる。
上の者に貢献しようとしない馬鹿者達の手を借りたくないというのか、何を思ったのか相手は空になった紙コップを彼等に向かって投げ付ける。
折角の好意をこのようなかたちで返されるとは思ってもみなかったシオンとアイザックは抗議の声を上げるが、相手は聞く耳を持たない。
それどころか舌と喉を火傷したのはシオンとアイザックに責任があると言いたそうな視線を向け憤慨するが、火傷の箇所に響いたのか再び悶絶する。
だが、先程の態度があったので彼等が手を差し伸べることはなかった。
ただ生暖かい視線を向け、心の中で「ああ、痛そう」と、呟く。