アメット
到着と同時にシオンに待っていたのは、アイザックからの根掘り葉掘りの尋問。
どのような切っ掛けで家政婦を雇うようになり、どのような人物を雇い入れたのか――
アイザックの尋問にシオンは苦笑してしまうが、だからといって友人の尋問を切り抜ける術は持ち合わせていない。
「何歳?」
「家政婦?」
「勿論」
「確か、17」
17歳という年齢に、アイザックは即答を避ける。
同年代の人物を雇ったものだと考えていたアイザックにとって、シオンの話は以外そのもの。
「随分、若い人物を――」と言いそうになるが、これも言うことはできない。
それだけ17歳という年齢は、衝撃が大きい。
「で、階級は?」
「それが……」
こればかりはアイザック以外の者に聞かれるわけにはいかないので、シオンは人気が少ない場所に連れて行くと、家政婦の正体について話していく。
最下層の住人であったクローリアのことを知っているアイザックは、最初は驚くが納得できる部分があったのだろう何度も頷く。
「彼女しか、いないか」
「知らない者は雇いたくない」
「それ、わかるかもしれない」
「だから、彼女だよ」
「で、一緒に暮らしているのか?」
「最下層から、通うことはできないだろう。あの階層は特別で、許可がないと自由に行き来はできない。それに一緒にいた方が、何かと便利で……まあ、その前にこの階層に慣れないといけない」
「しかし……17の女の子と……」
「何を考えている」
「いや、おかしなことを考えてはいない。ただ、その雇った家政婦に会ってみたいと……いいか? 最下層の話とか、聞いてみたい。興味があると言ったら、怒られるかもしれないけど……」
「別に、俺は構わない」
シオンの了承に、アイザックの表情が一瞬にして明るくなる。
家政婦のことが前々から興味があったアイザックにとって、友人の両親の承諾は有難い。
今すぐにクローリアの様子を見に行きたいが仕事を優先しないといけないので、互いに都合がいい日を選ばないといけない。