アメット
シオンはおかわりしたポテトサラダも胃袋に納めると、これ以上何も食べることができないとクローリアに伝える。
また食べ過ぎたのかシオンは口許を抑えると、小さいゲップをしてしまう。
女性の前で失礼な行為を行ってしまったと詫びるが、クローリアは頭を振る。
彼女にしてみればゲップをするほど大量に食べてくれた方が嬉しく、不味いと言われるどころか美味しいと言ってくれたことが有難い。
クローリアは空になった食器を重ねてキッチンに持って行くと、水道から水を流し食器を洗いだす。
その姿に、シオンが瞬時に制した。
「食器洗い機、使わないのか?」
「それは?」
「その名の通り、食器を洗う機械だ」
「手洗いじゃ……」
「食器洗い機を使った方が早い。それに、これ専用の洗剤が多く売られているほど定番だよ」
シオンは椅子から腰を上げると、クローリアに食器洗い機の使い方を教えに向かう。
使い方は以外と簡単で、物覚えのいいクローリアは瞬時に使い方を覚えていく。
彼女にとって食器は手で洗うものだと考えていたので、このような便利な機械があったことに興奮する。
「これを使えば、手が荒れない」
「ですが、私はどうすれば……」
「テレビを観ていればいい」
「宜しいですか?」
「俺は、部屋に行く」
「お仕事でしょうか」
「いや、私用だ」
「何か、飲み物は……」
「腹がいっぱいだ。それに私用というのは、メールのチェックだから。終わったら、此方に来る」
それだけを言い残すと、シオンは私室に繋がるドアを開き中に立ち入る。
この部屋に立ち入ってはいけないと言われているので、クローリアはソファーに腰を下ろすと、言われた通りテレビを観て待つことにする。
今、何をやっているのか――
テレビの使い方を覚えたクローリアはザッピングし、番組を確認していく。
クローリアの興味を引いたのはアニメで、可愛らしい動物が登場する話だった。
目の前で動くアニメ映像が珍しかったのか、子供のように目を輝かせながら食い入るようにして画面に集中する。