アメット

 知っているのは、父親か。

 なら、何故他は知らないのか。

 といって、謎が多いので正しい結論はでない。

 ドーム生活に関わる、真実――というところか。

 シオンは嘆息すると、この世界は思った以上に闇が深い。

「様子を見に行く」

「アークか?」

「このまま待っていてもいいが、状況がわからない。僕一人なら、特に問題はないだろうし」

「悪い」

「いいさ」

 そう言いつつ軽く手を上げると、アイザックはアークが帰ったかどうか確かめに向かう。

 一方シオンは見付かってはいけないと、廊下で待つことはせず、先程使用していた部屋に戻る。

 十数分後――

 アイザックが、戻って来た。

「どうだった?」

「帰った」

「良かった」

「で、行くか」

「勿論」

 アークが帰ったというのなら、自由に歩くことができる。

 シオンは軽い口調で返事を返すと、いそいそと部屋から出て行く。

 何ともわかり易い態度にアイザックはクスっと笑うと、友人の後を追う。

 そして関係者に自分達の考えを伝えると、上司に許可を貰いに向かった。


◇◆◇◆◇◆


「あっ! そうだ」

「どうした?」

「パソコンを買わないと」

「壊れたのか?」

 友人の指摘にシオンは頭を振ると、クローリア専用のパソコンを買いたいと話す。

 本当なら自分を使わせるのが一番だが、大事なデータが入っているので下手に弄って欲しくない。

 またクローリアはパソコンを使ったことがないので、何を仕出かすかわかったものではないと、シオンは語りだす。

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