アメット
「それなら、必要だね」
「一番怖いのは、初期化だ」
「ああ、わかる」
仕事でパソコンを使っているので、アイザックはシオンの気持ちを理解することができる。
しかし、パソコンは決して安い物ではないので「金は大丈夫か?」と、心配してしまう。
それに対しシオンは嘆息すると、暫く節約しないと危ないかもしれないと項垂れてしまう。
「でも、彼女がいる」
「クローリアか」
「外食を止め、家飯だ」
「仕方ない。頑張って貰おう」
まだ作れる料理は少ないが、今後のことを考えるとクローリアに安い料金で美味しい料理を作って貰わないといけない。
彼女に負担を掛けてしまうが、給料が払えない方が一大事。
事情を話せばクローリアは「給料はいらない」と言ってくれるが、流石に無給は可哀想だ。
だから節約の方で頑張って、何とか給料を支払えるように努力する――
とアイザックに宣言すると、並々ならぬ決意に吹き出してしまう。
それほどクローリアのことを大事に思っているのだろう、アイザックは愚痴を言い毒を吐く友人の全く違う一面を知ることができた。
「……羨ましい」
「家政婦?」
「家事一切、やってくれるんだろう?」
「彼女は、出身が出身だからね。今、この階級に適応しようと頑張っている。テキパキできるようになるのは、もう少し。物覚えはいいから、機械も簡単に使いこなせるようになるかもしれない」
「なら、行くか?」
「買い物?」
「勿論」
「報告と許可は?」
「まあ、後でいいんじゃないか。今日は一日、別の場所で仕事をする――と、言ってあるんだから」
「なるほど」
アイザックの言葉に納得すると、シオンは降りたらパソコンを買いに行こうと持ち掛ける。
勿論、アイザックは断る理由はないので頷き、一緒に使い易いパソコンを選ぶという。
いや、それだけではなく、今使っているパソコンが古くなってきたので、買い換えたいと言いだす。