アメット
徐々に、悪化している。
早くしないといけない。
そう、シオンは現状を読む。
神妙な面持ちを浮かべているシオンを覗き込むように眺めると、アイザックは「仕事はどうする?」と、声を掛けてくる。
それに対しシオンは「明日から」と返すと、身体の奥底に溜まった何かを吐き出すかのように、盛大な溜息を付く。
そして、友の顔に視線を合わす。
「どうした?」
「報告するべきかな」
「報告?」
「父さんに」
「それは、お前次第じゃないか」
これについて、アイザックは明確な答えを避ける。
自分は統治者一族ではないので、シオンの考えなどわからない。
だからこれに関しては自分で答えを出さないといけないと、アドバイスを送る。
「そうだね」
「……ただ」
「うん?」
「いい方向に行けばいいと思う」
「……だな」
それに関しては共通の思いで、シオンとアイザックは互いに笑い合う。
すると気分転換とばかりに、美味しい物を食べに行こうと誘う。
先程オムライスを食べたばかりだというのに、また何かを食べに行く。
しかしアイザックも食べてストレス発散したいと思っていたのだろう、快く頷く。
そして互いに大笑いをするが、余程の音量だったのだろう「煩い」という怒鳴り声が響く。
再び雷が落下することを恐れた二人は、そそくさとその場から立ち去り安全な場所へ避難した。