アメット
それに、パーティーは五日後――
遅いと、何かと問題が出て来る。
だから、早い方がいい。
と、シオンは自分に言い聞かせると、アイザックに「教えるよ」と、言う。
友人の決心にアイザックは「自分が言った方がいいか?」と言うが、このようなことはきちんと自分の口で言わないといけないので、アイザックの申し出を断る。
そして礼と共に、電話を切った。
「クローリア」
「何でしょうか」
「ちょっと、いいかな」
「はい。構いませんが……」
「座って」
シオンの発言にクローリアは頷くと、オズオズと椅子に腰を下ろす。
一方シオンは椅子に腰を下ろすことはせず、キッチンに向かい二人分の紅茶の用意をしだす。
呼んでおきながら何も話そうとしないシオンに不安感を覚えたのか、クローリアが躊躇いつつ口を開いた。
「あの……何か……」
「ちょっと待って」
「お紅茶でしたら、私が……」
「いや、俺がやる」
その言葉の先に待っていたのは、長い沈黙。
クローリアは椅子に腰掛けつつ、シオンが何を言うのか考えだす。
真っ先に思い付いたのは「粗相をしてしまったので、クビを切られる」というもので、徐々にクローリアの顔が真っ青になっていく。
それに気付いたシオンは「どうした?」と尋ね、理由を問う。
「クビを切られるのかと……」
「クビ?」
「違うのですか?」
「知り合いが主催するパーティーに呼ばれていて、できれば一緒に行ってくれないかと……」
「私で、いいのでしょうか」
「父さんに聞いたら、構わないと言っていた。それに一人で行くには寂しいし、アイは嫌がっていた」
しかしクローリアは、即答できなかった。
パーティーといえば華やかな世界で、階級が低い自分がそれに参加していいのか――と、クローリアは迷う。
階級という単語にシオンは動揺を覚えるが、アイザックに言われているのでクローリアに言わないわけにはいかない。