アメット
どうして。
何故。
彼が特別。
シオンの行動に、クローリアは疑問視する。
だから、思い切って疑問をぶつける。
「知りたい?」
「ご迷惑で、なければ……」
「いや、そんなことはないよ」
クローリアの言葉に頭を振ると、彼女の質問に答えていく。
自分は一人っ子ということもあって、誰かと絡んで遊ぶことは少なかった。
他の統治者一族の中に同年代がいないこともなかったが、いかんせん性格が合わない。
幼少の頃からプライドが高く、一緒にいても激しい疲労感を覚えた。
それに、階級が下の者であっても普通に接することができるのは、父親――グレイの影響が大きい。
と、シオンは語る。
「それと……」
「どうしましたか?」
「クローリアに、謝らないといけない」
「何か、なさったのでしょうか?」
「調査ということで最下層に行った時、勧められたモノを断った。本当は頂くべきだったけど、身体を考え……言葉で差別をしていないと言っても、本音では……悪いと思っている」
「そんなことは……」
「御免」
「謝らないで下さい。それは、仕方がないことです。そのように仰いますが、シオン様は優しいです」
統治者として踏ん反り返っていることはせず、下の者にも目を向けてくれている。
それだけではなく階級を偽ってまで科学者として働き、外界を浄化しようとしている。
言葉だけではなくそれを実践しているシオンは立派とクローリアは考えるが、恥ずかしいので言葉が小さくなってしまう。
「うん?」
「い、いえ」
「何でもないのなら、座っていていいよ。これは自分が飲む分だから、自分で淹れるから。これくらいは、自分やらないといけない。そうだ、何か菓子を食べる。確か、少し残っていたような……甘い物を食べれば気持ちが落ち着き、答えを出すことができるかもしれない」