アメット
「……シオン様」
しかし、クローリアの呼びかけにシオンは返事を返さない。どうやら眠りについてしまったのだろう、シオンからの返事がないことにクローリアは寂しさを覚える。それでも抱き締められていることに緊張感と共に深い安心感に包まれ、うっとりとした表情を浮かべる。
「……好きです」
再び口に出た想い。
すると今度は、返事が返された。
「有難う」
シオンが返事を返したことに、クローリアは身体を震わす。眠っていると思われたシオンは、本当は寝ていなかった。抱いていた感情に気付かれてしまいクローリアは焦るが、これはこれでいいと考えを切り替える。それに想いを口に出したことで、シオンの言葉を聞けた。
「俺も、好きだ」
「……はい」
そっと、クローリアはシオンの手を握り締める。それに合わせるように、シオンも抱き締める腕に力を込める。
想いを口にしたことにより緊張感が解れてきたのだろう、クローリアはウトウトしだす。そしてシオンの胸に凭れ掛かるようにして、クローリアは深い眠りに付く。耳に届く寝息にシオンは彼女の髪に口付を落とすと、これから先も一緒に過ごしていこうと囁くのだった。