アメット
第八章 その道を踏みしめて
そうか。
それが、グレイの第一声。
アムルからシオンとクローリアの関係を聞いたグレイは、考え事をしているのか沈黙を続ける。
「どう思う」
「私は、何とも……」
「最下層の者か」
「やはり、不都合でしょうか」
「いや、そういう意味ではない」
グレイの話では、息子の相手となる女性の階級は拘らない。
寧ろ互いを想い合い、理解し合える人物と出会ったのなら、その者と一緒になっていいとグレイは考える。
だから息子がクローリアを選んだことに反対することなく、いい人物に出会えたことに喜びを覚えるという。
「それとシオン様から、頼まれたことがあります」
「頼み?」
「あの娘を養女にと……」
「なるほど」
「いかがいたしましょう」
「いいと思う」
「旦那様!」
「嫌なのか?」
「いえ、そのようなことは……」
珍しくアムルが、言葉を詰まらす。
アムルは、決してクローリアを嫌っているわけではない。
それどころか、自分に本当の養女ができることに驚きを隠せないでいた。
パーティーの時は一意的に養女となったが、パーティーが終了すればもとの関係に戻ってしまう。
アムルは口には出さなかったが、そのことに寂しさを覚えていた。
だから、今回のことは嬉しい――と、話す。
「それなら、迷うことはない」
「……旦那様」
「私も、喜ばしい」
以前グレイは、アムルに娘がいれば息子の恋人にしたいと言っていた。
まさかそれが現実となるとは――運命はどのように変わるかわからず、これによって二人が幸せになってほしいと願う。
同時に息子が一生独身で過ごさないで済むと、グレイは苦笑しながらアムルに語る。