アメット
クローリアの話では、最初は三十代後半と思っていたという。
だからシオンの実年齢を聞いた時は素直に驚き、年齢を間違ってしまったことを謝る。
それに対しシオンも、クローリアの年齢の認識を間違っていた。
彼女の年齢は17歳だが、実際体型と年齢が合わない。
十代真ん中。それが、シオンのクローリアに対しての見方。
しかしクローリアの実年齢は17歳で、二人とも互いの年齢を間違える始末。
だが、それは仕方がないことであり、最下層での食料提供は著しく少なく、食糧不足もあり成長しきれていないのが現状であった。
また、彼女が着ている服を見ても、其方の方面の提供も殆んど行なわれていないように思える。
まさに、生きる上での最低限の物だけ上の者が用意してくれている。
確かに用意してくれるだけマシといえばマシだが「してあげている」という気持ちが見え隠れもしない。
思った以上に厳しい環境に置かれている最下層の住民に同情してしまうが、だからといって上司に扱き使われているシオンが救いの手を差し伸べられる状況ではない。
唯一できるのは大気の調査を真面目に行ない、これを上司に報告し改善を求めるくらいしかできない。
「そういえば店で働いていたようだけど、金が流通しているとか? だけど、どのようにして……」
「最下層には最下層の仕事があります」
「それは?」
「ゴミの焼却です」
そう言うと、クローリアはドームの端っこを指で示す。
これが最下層での唯一の現金収入で、男達はこの仕事に従事しているという。
上の者達が嫌がる仕事を代わりにやっているので、それなりにいい給料を貰えている。だからこそ、何とか彼等は生き続けていられる。
「知らなかった」
「そうなのですか?」
「ゴミの収集は定期的に行われているが、その行き先を知っている者は殆んどいない。まさか、最下層で処理されていたとは……それも影響しているかもしれない。大気が汚いのは……」
「綺麗になれば、病気は治りますか?」
「病気なのか?」
シオンの問いに、クローリアは頭を振る。
病気なのは自分ではなく父親で、母親が看病を行なっているので自分は生活費と薬を購入する代金を稼ぐ為にあの店で働いているが、懸命に働き稼いでも高い薬を購入すれば頂いているお金の大半を使ってしまうと嘆き悲しむ。