アメット
「で、仕事は終わったのか?」
「半分」
「いいのか?」
「一人でやっているわけじゃないから、平気だろう。それに、適度の休憩を入れないと持たない」
「なるほど」
「今日は、どうするんだ。調査に出向いたということで、無理矢理帰宅って方法もあるんじゃ……」
「溜まっている仕事を何とかしないといけないが、といってやる気が湧くかどうかの問題だ。だからといって、疲れたって言い訳が通じるわけがないし……まあ、少しやっていくよ」
「倒れるなよ」
「お互い」
肉体を動かす超過労働というわけではないが、一日中パソコンを目の前に仕事をしているのも、それはそれで疲労感が蓄積していく。
特に思考をフルに使用するので、頭が著しく疲弊する。
この場合、甘い物が最適とされているが大量に摂取すれば、別の面で異常を来たす。
最適な方法はベッドで横になって長い時間休むことだが、シオンを含め下っ端の者達は溜まっている仕事をこなさないといけないので、科学者の大半は椅子に寄り掛かって仮眠を取る。
しかし仮眠は関節部分を傷める副作用もあるので、短時間の仮眠で澄まさないといけない。
それに現状の回復を望んでも、いまだに改善されないのが現状だった。
シオンとアイザックは同時に飲み物を一気に胃袋に流し入れると、これまた同時に腰掛けていた椅子から立ち上がる。
流石に長々と会話を続けている何を言われるかわからないと判断したのだろう、話を終わらせた。
「気が晴れたよ」
「それならいいが」
「最下層の出来事は……まあ、個人的ないい思い出としておくよ。それと、クローリアの件は内緒で。あそこの住人と仲良くなったと知ったら、何を言われるかわかったものじゃない」
「わかっている」
「じゃあ、また休憩の時にでも……」
それを別れの挨拶とすると、シオンは紙コップをゴミ箱に投げ入れ自分のディスクがある研究室へ帰る。
それに続くようにアイザックも紙コップをゴミ箱に投げ入れると、シオンとは反対方向に向かって歩き出す。
そして、それぞれに課せられた仕事を行なうのだった。