secret act Ⅰ



その人は近づくごとに笑みを深め、私の前まで来ると目線があうようにかがみ両肩に手を置いた―――――その瞬間ビクッと体が大きく跳ね1歩後退った。


逃がさないとばかりに肩に置く手に力が入り

「.......君は.....娘?」

と、言われたけど何も言わないでいると

「娘...だよね。美恵に似てる...名前は?」

恍惚とした目で私を見ている。



ガタガタ震える体を引っ張られソファーに座らされた。


その人は私の前に立ち笑みを浮かべたまま周りを見渡した後、私を見下ろして満面の笑みで
「....裕美..って言うんだね。」と、言った。


どうして名前がわかったのか。
これからどうなるのか。

不安と恐怖で助けを求めたくて斜め前のソファーにいる母を見ても、その側にいる父を見ても無駄で.......

" 赤 "に染まる中にいる2人が動くことはもぅ................ない。


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