secret act Ⅰ
翔貴 (重い蓋が開く時)
《裕美を助けに廃ビルに着いた時》
朔と美空、そして組員1人を車に残し廃ビルに近づく。
......なんか変だ。
ビルの中は窓も封鎖され、隙間からの月明かりのみ。
明かりもなく物音がしない。
「....本当にここなのか」
「そのはずです。」
慎重に警戒しながら中に進む。
やはり物音がしない....と、僅かにうめき声のようなものが聞こえた。
近づいていくと床に転がる数人の男と1人の女が目に入った。
その瞬間、冷静ではいられなくなった。
駆け出しながら「右京は1階!左京は俺と!お前ら2手に別れろ!」そう言って階段を上がった。
見つからないことにイライラし、次々ドアを開ける。
3階の一番奥のドアを開けたとき
「いた.....」
姿を見つけてホッとするも、裕美のすぐそばで顔がわからなくなるぐらい殴られ腕が変な方に曲がり右手が潰されてる男が目に映り慌てて裕美に駆け寄った。
「裕美....」
意識は無いもののそこまでの大きな怪我はなく安堵のため息をついた。
そして、そのまま抱えあげ部屋を出た。
「おい。お前ら見つかった。」
動き回ってたやつらも駆け寄ってきた。
「3階の一番奥。ボロボロのやつがいる。こいつらと一緒に病院に運んでやれ。」
何があったかはわからない。
だが、そのお陰で裕美は助かった......そう思っていた。
─────その時の俺は何も知らず、こいつらをやってくれたやつに感謝すらしていた。
(おまけ完)