secret act Ⅰ
【回想】
小雨とはいえ長時間そこにいるだろう、びしょ濡れの女の子。
いつもなら気にならないだろうが、その時はなぜか気になり近づいて声をかけた。
「おい。びしょ濡れで風邪ひくぞ。家、帰んねぇのか?」
「...........。」
無言でコクっと首を縦に振る。
「かぁちゃんは?」
「.............。」
次は横に振った。
「............かぁちゃんいねぇのか?」
「..............。」
首を縦に振る。
「.........とぉちゃんは?」
「..............。」
首を横に振る。
「.............家族...いねぇのか?」
「..............。」
長い間があった後、首を縦に振った。
首だけで返事をする女の子の目は何もかも拒絶しているかのようで、雨なのか涙なのかわからなかったが、泣いてるように見えた。
「.................................。」
何も言えず黙ってしまった。
すると、いきなりピョンっと女の子がブランコから飛び降り、病院に向かって歩きだした。
なんか心配で、後をついていった。