13年目のやさしい願い
着いたのは、わたしがいつも使う特別室。
裕也くんが形だけのノックをすると、ドアを横に引いた。
ドアをくぐると、いつもは、わたしが寝ているベッドの上に、
カナの姿が見えた。
意識がなくて、
点滴を打たれていて、
頭には包帯が巻かれていて……。
ただでさえ壊れかけの心臓が、
ドクンと跳ねるように、大きく脈打って、
一瞬、目の前が暗くなる。
「……カナ」
気がつくと、涙が溢れ出していた。