13年目のやさしい願い
カナ。
カナ。
カナ。
きっと、目覚める。
分かってる。
ちゃんと、分かってる。
命に別状があるようなケガじゃない。
そんなこと、分かってる。
だけど、こんなにも怖い。
もしも、目覚めなかったらって、
考えたくもないのに、
そんな言葉が、どこからともなくわき上がってきて……。
怖くて仕方がない。
胸がつぶれそうに痛い。
「……カナ」
あふれる涙が、わたしが握るカナの手をぬらす。
手の甲に当てられたガーゼまで濡らしたことに気がついて、慌てて、わたしは涙をぬぐった。
だけど、ぬぐってもぬぐっても、枯れることなく、涙はポロポロとあふれ続けた。