13年目のやさしい願い
「カナ!」
しゃくり上げながら、わたしが泣き続けるのを見て、裕也くん、困っている。
そんな空気を感じながらも、
涙は止まらなかった。
「陽菜ちゃん、大丈夫だから」
裕也くんの言葉に、ささやくように聞き返す。
「ど……して、そんな、こと、分かる…の?」
「いや、さっき、牧村先生が電話で心配ないって」
裕也くん、困ってる。
何も知らされず、突然、押しつけられた雑用。
わたしやカナと面識があるからって、状況が分かるわけじゃない。
裕也くんを責めるなんて、お門違いだ。
ママが大丈夫だって言ったのを、わたし、ちゃんと聞いている。
「……それ、……わたしも、聞いた……から」
「そっか」
裕也くんも、それ以上は何も言わなかった。
ただ、ポンポンと、わたしの頭を優しくなでた。