13年目のやさしい願い
どれくらい経っただろう?
わたしには永遠にも近い時間に感じられたけど、
たぶん、それは、
そんなに長い時間ではない。
「……カナ」
わたしは、他にどうすることもできず、
ただ、ひたすらに、
カナの名を呼び続けた。
でも、カナの意識はまるで戻らなかった。
ピピピピピッ
また呼び出し音が鳴り、裕也くんがポケットの中から院内PHSを取り出した。
「はい、浅木です」
呼び出しだ。
そうだよね。
心配のない患者の元に、いつまでもはいられない。
「すみません。……はい。すぐ行きます」
裕也くんは電話を切ると、
「陽菜ちゃん」
と、わたしを呼んだ。
裕也くんの方を見て話を聞かないと、と思うのに、
カナから目を離せなかった。