13年目のやさしい願い


「カナッ!!」



思わず、カナの手をギュッと握りしめて、

ケガしてるから、強く握っちゃいけないんじゃないかなんて、

気づかう余裕すらなく、わたしは、



「カナッ!! カナ! カナ!」



カナの名を何度も呼んだ。



「陽菜ちゃん?」



病室から出ていくところだった裕也くんが、慌てて戻って来た。



「……ん、」



カナが身じろぎした。



それから、ゆっくりと目を開けて、

不思議そうな顔でわたしを見て、

そうして、カナは……。



「……ハル?」



その瞬間、わたしの涙腺はまた決壊した。



「カナ! カナッ!!」



気がついたら、イスから立ち上がって、

目を覚ましたカナに、しがみついて泣いていた。



「え? ……ハル?」



間の抜けたカナの声が、

もう大丈夫だって言っているみたいで、

ホッとして身体中から力が抜けて、



また、涙が止まらなくなった。

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