13年目のやさしい願い
ハルはすっかり涙腺が緩んでしまったようで、
オレと話していても、ふいに、ぶわぁっと涙が盛り上がると、ポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちる。
「ハル! ごめん! 本っ当に、ごめん!」
オレは身体を起こして身を乗り出すと、ハルの細い身体をギュッと抱きしめた。
「ね、寝てなきゃダメだよ、カナ」
慌てて、ハルはそう言ったけど、ハルを放す気にはならなかった。
擦りむいた手の甲やら、特大のたんこぶができた後頭部やら、痛いには痛いけど、これくらいなら大したケガではない。
打ったのが頭で、意識が戻るまでに少し時間がかかったから、今日は念のために入院するように言われたけど、同時にまず問題ないだろうとも言われた。