13年目のやさしい願い
ハルの怪訝そうな顔から、心の声が聞こえた気がする。
……ここ、笑うところかなぁ?
そんなハルが、また、たまらなく愛おしい。
ハルは続けた。
「わたし、こんなに……胸がつぶれるかと思うくらい、辛かったから、」
オレはハルの髪をそっとなでる。
いいよ。ゆっくり話せば。
って思いながら。
「カナに今まで、……きっと何回も、こんな苦しい思いをさせちゃったんだろうなって、思って」
「……ん」
そう。
ハルは今までに、何度も死にかけている。
命が危ないって聞かされたこともあれば、聞かされなくても何かがおかしいと感じたこともある。
幼い頃は、容態が悪いハルには会わせてもらえなかったから、
大人たちの間に漂うやけに重い空気に、ただ不安を募らせた。