13年目のやさしい願い


真っ赤な目。

ポロポロこぼれ落ちる涙。

不安そうに、オレにしがみつく細い指先。



……山ほど泣かせちゃったな。



あの昼間の交差点。

もし、あの場にもう一度戻ったとしても、オレはきっと同じことをする。

だから、後悔はない。

でも、



何ともなくて本当に良かった。



とは、しみじみ思う。



オレは小学生の頃から空手なんてものを習っている。

けど、実のところ、あれは一種の精神鍛錬だったり肉体を鍛えるためにやっているもので、

オレは人一倍ケガには気をつけていた。



ハルの側にいて、ハルを守る。



それが最優先事項だから、

ケガなんかで戦線離脱はできないんだ。



月曜日、さすがに学校は休むしかない。

ハルを1人で登校させることになってしまった。



ハル。ごめんね。

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