13年目のやさしい願い
9.病室の日曜日
事故の翌日、日曜日。
朝から、カナのお見舞いに行った。
少しでもカナと一緒にいたくて。
カナの側にいたくて。
「陽菜、今日は家で休んでなさい。顔色が良くないよ」
そう言って止めようとしたパパは、わたしの目が潤むのを見て、困った顔をしつつも、「仕方ないな」と病院まで送ってくれた。
「叶太くん、大変だったな。具合はどうだい?」
「はい。もう、すっかり元気です」
頭の包帯も取れて点滴もなくて、目に見えるケガは手の甲だけで、
カナは、本当にすっかり元気という感じで笑っていた。
「それにしても、とんでもない車もいたもんだ」
「どうも認知症の老人だったみたいです」
「最近多いらしいな」
パパがため息を吐き、「本当に、大したケガがなくてよかった」と言った。