13年目のやさしい願い
パパが帰り、病室にはわたしとカナだけになった。
「ハル、こっちで寝る?」
カナがベッドの上に座って、わたしの頭を優しくなでながら聞いてきた。
こっち……って、ベッド?
寝ないよ。
そこはカナの場所だもん。
小さく首を振り、カナの目を見た。
目が合うと、カナがにっこり笑ってくれた。
つないだ手のひらから感じる、カナのぬくもり。
曇りのないカナの笑顔。
……よかった。
……本当によかった。
わたしはイスに座ったまま、上半身をベッドに伏せた。
「ハル?」
……うん。カナ。
あのね、大好きだよ。
頭に、背中に、カナのぬくもりを感じながら、ウトウト。
気がついたら、現実と夢の狭間を、わたしはゆったりと漂っていた。