13年目のやさしい願い


「それじゃ、ボクたちは失礼しようか?」

「え!? まだ来たばっかりですよ?」



羽鳥先輩が、後から来た来客に気を遣うように言って、しーちゃんが驚いたような声を上げた。

カナも慌てた声で言った。



「え? 先輩、もう少し待ってて下さい。頼みたいことがあるんで」

「ボクに?」

「……ってか、志穂に? だから、昨日、メールしたんだし」

「……何も書いてなかったけど?」

「だから、書く前に寝ちゃったんだって」



どこか微妙な沈黙が流れた。

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