13年目のやさしい願い
10.再会
「ハルちゃん、やっぱり、そっちに寝かせた方がよくない?」
来客が帰り、ようやく静かになった病室。
羽鳥先輩がハルを心配そうに覗き込みながら、そう言った。
「……ですよね?」
ベッドから降りてハルの後ろに回ると、先輩が言った。
「ボクがやろうか?」
「え!? いいですよ」
「でも、広瀬、ケガ人だろ?」
「やめてくださいよ。たんこぶくらいで」
「いや。それも」
と、先輩はオレの手の甲を指さした。
「ああ。すり傷ですよ、ただの」
ガーゼは当ててもらってるし、すり傷という程には軽くないけど、これくらいなら、子どもの頃、転んですりむいた膝小僧のケガとそう変わらない。