13年目のやさしい願い
オレは笑いながらハルの靴を脱がせて、そっと抱き上げた。
ふにゃふにゃして抱きにくくて、ハルはみじろぎもしなかった。
完全に寝てる。
寝ているというより、昏倒していると言った方がいいくらいだ。
疲れてるんだよな。
……オレのせいか。
「顔色、悪くない? 大丈夫?」
志穂が心配そうにハルを覗き込む。
オレもハルに布団をかけてやりながら、ハルの様子を見た。
「これくらいなら」
「ホント?」
「後で、ハルの母さんかじいちゃんに診てもらうよ。ぜったい覗きに来るから」
「うん」
それで、ようやく納得したように、志穂は頷いた。