13年目のやさしい願い


ハルは相変わらず眠っている。

裕也さんに手伝ってもらって、ムリヤリ起こして薬だけは飲ませた。

オレの様子を見に来た看護師さんが、昏々と眠るハルを見て気を利かせて、



「点滴打ってもらえるように、先生に頼んでこようか?」



と言ってくれたけど、さすがに断った。

必要なら、おばさんでも、じいちゃんでも呼べばいい。



ここで寝て少しでも楽になるなら、好きなだけ寝かせてやればいいんだ。



ハルをベッドで寝かせて、ソファで兄貴が届けてくれた雑誌を読んでいると、斎藤が見舞いに来てくれた。

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