13年目のやさしい願い


「あれ? なんで?」



私服でベッドに寝てるハルを見て、斎藤は不思議そうな顔をした。



「いや、そこのイスで寝ちゃったから、ベッドに寝かせた」

「……いいの?」

「いいんじゃない?」

「適当だな」



斎藤は苦笑した。



どうせ明日には退院だと思って、特に知らせていなかった。

……と言うか、志穂にメールを送った後、寝オチしたから斎藤には連絡していなかったわけだけど、志穂が知らせたらしい。



一緒に行こうって誘われたんだけどさ、と斎藤が言うから、



「午前中は用事あった?」



って聞くと、


「いや。だって、デートの邪魔しちゃ悪いだろ?」



と返された。

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