13年目のやさしい願い


「なに、気つかってんの」

「……広瀬、寺本のこととなると大雑把だな」

「え!? そんなことないだろ!?」

「いや、まだ付き合い始めて数ヶ月だし、少しは気つかえよ」

「……先輩と志穂って、本当に付き合ってるんだよな?」

「……まあ、あんまり甘~い雰囲気、ないよな」



と斎藤も笑った。



「そうだ。斎藤にもお願い」

「ん? オレ、にも?」

「志穂にも頼んだんだけど、オレ、明日、学校行けないから、ハルのことお願いね?」

「……何を?」

「志穂には、一ヶ谷退治を頼んだんだけど、」

「……それは、オレにはムリ」

「だよな?」



オレたちは顔を見合わせて笑った。

去年、散々、斎藤には「オレには恋愛関係の相談はするな」って言われた。

それでも、オレとハルの恋の成就のために、斎藤はずいぶん手を貸してくれた。

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