13年目のやさしい願い
「え? オレ!?
……いや、残念ながら、オレはハル一筋で、いくら斎藤だからって男は……」
オレがおどけて言うと、斎藤はでかい身体を乗り出してきて、ゴンッとオレの頭を叩いた。
「あ、バカ! 何すんだよ」
「おまえ、そういう冗談、いい加減やめろよ」
「……オレ、頭打って入院してんだぞ」
叩かれたのは額の上辺りで、たんこぶの場所には程遠い。
別に痛くも何ともなかったけど、冗談半分、恨めしそうにオレがそう言うと、
斎藤はハッと我に返り、慌てふためいて、
「そうだった! 悪い!! ごめん!」
と、「大丈夫か?」、「先生呼ぶか?」と大騒ぎしたものだから、逆にオレが、
「……ごめん、からかって。ぜんぜん、平気デス」
と謝る羽目になった。