13年目のやさしい願い
「ぼーっとしてたのは、叶太くんが休みだから?」
「え?」
「違うの?」
「じゃあ、……一年生の横恋慕くんのせい?」
「よ、横恋慕くん!?」
「あれ? それも違うの?」
田尻さんが不思議そうに首を傾げた。
答えにくくて、思わず話題を変えてしまった。
「……田尻さんは、なんで見学なの?」
「ん? 足首。また、やっちゃった」
言われて見ると、右の足首に分厚くテーピングが巻かれていた。
「クセになっちゃってるみたいで、しばらくは部活も体育も見学して、しっかり治せって。
イヤんなっちゃう」
「痛い?」
「そりゃ、ま、痛いよ。普通に」
「そっか」
「あ、もしかして、牧村さん、捻挫ってしたことない?」
「うん」
わたしは走れないから、足首をひねるようなこともない。