13年目のやさしい願い
「叶太、本当に良いのか?」
親父に聞かれたのは昨日の夜。
「え? なにが?」
夕食後、リビングでくつろいでいる時、藪から棒に飛び出した親父の言葉に、思い当たるようなことは何もなかった。
「本当に、陽菜ちゃんと違うクラスで良いのか?」
「……は? なんのこと?」
思わず、ぽかんと口を開けたオレに、親父は呆れたように言った。
「陽菜ちゃんから、おまえと同じクラスにしろって、学校に頼むのをやめてくれって言われたぞ」
……え?
「なんだって!?」
思いもかけない言葉を聞いて、オレは思わず親父をジロリと見た。
「おいおい、親切に教えてやったパパをにらみつけるなよ。ここは、ありがとうだろ」
パパってなんだ、パパって。
この人は、どうもいつまでも自分を子ども扱いする。
と言うか、こうやって自分をからかう。
って、今はそんなの、どうでもいい話で……
問題は、親父の言った話の内容。