13年目のやさしい願い


「親父、もっかい言って。ハルが、なんだって?」

「男の子はつまらんなぁ。怖い声で親父だもんな。色気も素っ気もない」



オレをからかうように親父は言う。

オレがじとーっとにらむと、親父は肩をすくめて続けた。



「陽菜ちゃんが、学校に、おまえと同じクラスにしてくれと頼まないでくれって」



オレがその言葉をかみしめていると、親父は面白そうに続けた。



「で、学校に、今年は2人を敢えて同じクラスにする必要はない……って伝えておけばいいのか?」

「っんなわけ、ねーだろっ!!」



思わず怒鳴り返すと、親父は「どうどう」と楽しげにオレの肩を叩いた。



……馬じゃねーし。



「いつも通りで頼むわ」

「ん? 聞こえないな」



ちっ。人のことからかいやがって。



「いつも通り……ハルと同じクラスになれるよう、お願いします!」



半ば誘導されて言い換えたのに、親父は、だけどな、と続けた。


< 17 / 423 >

この作品をシェア

pagetop