13年目のやさしい願い
「親父、もっかい言って。ハルが、なんだって?」
「男の子はつまらんなぁ。怖い声で親父だもんな。色気も素っ気もない」
オレをからかうように親父は言う。
オレがじとーっとにらむと、親父は肩をすくめて続けた。
「陽菜ちゃんが、学校に、おまえと同じクラスにしてくれと頼まないでくれって」
オレがその言葉をかみしめていると、親父は面白そうに続けた。
「で、学校に、今年は2人を敢えて同じクラスにする必要はない……って伝えておけばいいのか?」
「っんなわけ、ねーだろっ!!」
思わず怒鳴り返すと、親父は「どうどう」と楽しげにオレの肩を叩いた。
……馬じゃねーし。
「いつも通りで頼むわ」
「ん? 聞こえないな」
ちっ。人のことからかいやがって。
「いつも通り……ハルと同じクラスになれるよう、お願いします!」
半ば誘導されて言い換えたのに、親父は、だけどな、と続けた。