13年目のやさしい願い
わたしも患者だから、処置する場面を見るわけじゃない。
でも、ICUで生死の境をさまよっているような時、
同じ場所には、たくさんの管でつながれて、
わたしと同じように、生を求めて戦っている人たちがいた。
夢うつつで見た、
面会に来た若い両親が泣き崩れる姿、嗚咽、
命の灯火が消えんとする我が子を呼ぶ悲痛な声。
……忘れられない。
脳裏にこびりついて、忘れられない。
「ずっと元気だったのに、ある日突然、病気が見つかって、
ほんの数ヶ月の闘病生活で亡くなる子もいて……」
小児癌で入院してきた笑顔が可愛かった、あの子。
入院してきた時は、あんなに元気だったのに、
抗がん剤でみるみる痩せて、
一度は退院したのに、すぐに戻って来て……。
最後は歩くこともできなくなって、個室に移って……。
やがて、いなくなった。