13年目のやさしい願い
「……村さん、牧村さん!? 大丈夫!?」
肩を揺さぶられて、ハッと、声のする方を見ると、田尻さんの顔が至近距離にあった。
思わず、身を引き、後ろにひっくり返りそうになる。
「わっ、危ないって!」
田尻さんが、わたしの身体を支えながら、ふうっとため息を吐いた。
いけない。
わたし、話の途中から、うっかり、物思いにふけっていたみたい。
「ご、ごめん」
「……大丈夫なの? ホントに」
田尻さんが、マジマジとわたしの顔を見る。
そこに、誰かが駆け足で近づいてくる音が聞こえた。
カナ?
と一瞬思ってから、カナが今日は休みだったのだと思い出す。
田尻さんの向こうから、駆けてくるのは、斎藤くんだった。
「牧村! 大丈夫!?」