13年目のやさしい願い
「……おばさん。
オレ、しょっちゅう行ってるけど、おばさんに会えることって、ほとんどないんだけど」
放課後にもハルに会いに行くし、土日にも結構お邪魔するけど、おばさんを見かけることはほとんどない。
「そう? 叶太くん、陽菜しか見てないから、わたしの存在が目に入ってないだけじゃない?」
ニヤニヤ笑われて、オレはため息を吐く。
いくら何でも、そんなはずなはいだろ?
どうしてか、オレの親父も、ハルの母さんも、オレをからかうのが好きらしい。
「……まあ、ハルしか目に入ってないのは、確かかもね」
諦めて、ため息交じりにそう言うと、おばさんと看護師さんは吹き出し、お袋は「もう」と小さくため息を吐いた。